猫が食べてはいけないもの
猫が食べてはいけないものを食材ジャンル別に紹介していきます。
なお、猫が食べていいものについては以下の記事で紹介しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
肉
肉の種類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
豚肉(生) | トキソプラズマ、病原菌 | 食中毒、発熱、嘔吐 |
鶏肉(生) | サルモネラ菌、大腸菌 | 下痢、嘔吐、脱水 |
ソーセージなどの加工肉 | 塩分、香辛料 | 腎臓への負担、消化不良 |
猫が食べてはいけないものは、生肉や加工肉です。生肉には、大腸菌やサルモネラ菌、また豚肉にはトキソプラズマという寄生虫が含まれている可能性があります。
食中毒や嘔吐を引き起こすこともあるため、人間同様、豚肉、鶏肉はしっかり加熱することが大切です。加熱調理した肉であれば与えても問題ありませんが、調味料や香辛料は猫の腎臓などに負担をかけるため、加えないでください。
魚介類
魚介類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
エビ・カニ類 | チアミナーゼ | ビタミンB1欠乏症、神経症状 |
イカ・タコ | チアミナーゼ | ビタミンB1欠乏症、神経症状 |
青魚 | アニサキス、脂質 | 寄生虫症、黄色脂肪症 |
エビ、タコ、イカ、カニ、貝類などの魚介類は、生で与えることは絶対NGです。アミナーゼという酵素が含まれており、これによってビタミンB1が欠乏し、食欲低下・吐き気・痙攣などの症状を引き起こす可能性があります。
サンマ、アジ、イワシ、サバなどの青魚には、アニサキスなどの寄生虫が潜んでいる可能性があるため、焼いてから与えるようにしましょう。ただし、焼いたからといって与えすぎると、黄色脂肪症になってしまうため、あげすぎには注意が必要です。
昔の日本人が猫に魚をあげていたことから、猫は魚を食べるのが好きというイメージがありますが、必ずしもそうでないことを認識しておきましょう。
野菜
野菜の種類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
ネギ類 | アリルプロピルジスルファイド | 貧血、腎障害 |
アボカド | ペルシン | 呼吸困難、嘔吐 |
玉ねぎや長ネギ、にんにく、にら、らっきょうなどのネギ類は、猫にとって有害です。猫の赤血球を破壊し、重度の貧血や急性腎障害を引き起こす可能性があります。
カレーやハンバーグ、肉じゃがなど、調理済みの料理に含まれている場合も危険で、加熱調理しても、その毒性が消えることはありません。
果物
果物の種類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
ぶどう・レーズン | 不明 | 腎不全、嘔吐 |
いちじく | フィシン、ソラレン | 口内炎、皮膚炎 |
パパイヤ・マンゴー | 酵素タンパク質 | アレルギー反応 |
桃・さくらんぼ(種) | 青酸配糖体 | 中毒症状、呼吸困難 |
ぶどうやレーズンは嘔吐や下痢、腎機能障害、いちじくは口内炎を引き起こします。少量でも重篤な症状につながる可能性があるため、与えないようにしましょう。
パパイヤやマンゴーには特殊な酵素が含まれており、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。
桃やさくらんぼに関しては種に青酸配糖体という猛毒が含まれており、誤って口にすると呼吸困難を引き起こし、最悪の場合は突然死につながることもあります。
菓子・その他
食べ物の種類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
チョコレート | テオブロミン | 嘔吐、痙攣、心不全 |
ナッツ類 | ペニトリウムA | 消化不良、中毒 |
キシリトール | キシリトール | 低血糖、肝不全 |
菓子類の中で特に注意が必要なのがチョコレートです。テオブロミンによる中毒が起こりやすく、誤食も多い食品です。アメリカの動物中毒管理センターでは、相談全体の10%がチョコレートの誤飲に関する相談とのこと。
ナッツ類、特にビターアーモンドは有害成分を含む上、脂質が多くて消化も難しいため避ける必要があります。キシリトール系の甘味料も重度の低血糖を引き起こすため、あげないでください。
飲み物
飲み物の種類 | 猫に有害な物質 | 現れる症状 |
---|---|---|
緑茶、紅茶、コーヒー | カフェイン | 嘔吐、痙攣 |
ビール | アルコール | 中毒、昏睡 |
ココア | テオブロミン | 中毒症状 |
牛乳 | 乳頭 | 下痢、消化不良 |
飲み物では、緑茶、紅茶、コーヒーに含まれるカフェインが猫にとって有害です。アルコールは猫の体内で分解することができないため、ビールは少量でも危険です。
ココアはチョコレートと同様、カカオ豆に含まれるテオブロミンが理由で、中毒を引き起こす危険があります。
人間用の牛乳は乳糖を分解する酵素が不足している猫の体では、うまく消化することができません。猫用のミルクであれば、乳糖がカットされているため、飲ませることができます。
ドッグフード
ドッグフードを猫に与えることは控えましょう。これは猫に必要なタウリンがドッグフードに含まれていないためです。タウリンとは猫の体の様々な機能に不可欠なアミノ酸の一種です。
犬はタウリンを体内で合成できるため、ドッグフードに含まれるタウリンは少なめです。一方猫は体内でタウリンを合成することができず、ドッグフードだけでは、十分なタウリンを摂取できないのです。
タウリンが不足すると、視力の低下や失明、重症の場合は心臓病を引き起こしかねません。猫には必ず猫用のキャットフードを与えましょう。
花・植物も食べないよう気をつける必要がある
植物の種類 | 代表的な植物 | 現れる症状 |
---|---|---|
ユリ科 | ユリ、チューリップ、スイセン、ヒヤシンス、スズラン | 急性腎障害、心不全 |
ナス科 | ナス、トマト、ホオズキ、チョウセンアサガオ | 消化器障害、神経症状 |
ツツジ科 | ツツジ、アザレア、シャクナゲ、サツキ | 不整脈、痙攣、嘔吐 |
キンポウゲ科 | アネモネ、クレマチス、ラナンキュラス | 消化器障害、皮膚炎 |
バラ科 | バラ、サクラ、ビワ | 消化器障害、中毒 |
室内で飾る花や観葉植物の中にも、猫にとって危険なものが数多く存在します。中でもユリ科の植物は最も危険性が高く、花びらや葉っぱ1枚を食べただけでも急性腎障害を引き起こします。
また、花粉が毛についた後の毛づくろいでも中毒を起こすことがあるため、家に置くことは避けましょう。花瓶の水にも毒性が溶け出している可能性があるため、猫の手の届かない場所に置く必要があります。
家に植物を置く際は、必ず猫にとって安全なものかどうかを確認し、危険な植物は家に持ち込まないようにしましょう。
猫が食べてしまいがちな家のもの
猫は好奇心旺盛で、興味があるものにはすぐに食いつきます。ついうっかりしていると、食べ物でなくても誤って食べてしまうことがあるため、注意が必要です。
以下で猫が食べてしまいがちな家のものを見ていきましょう。
- ビニールのひもや袋
- 輪ゴムやヘアゴム
- ジョイントマット
- 布製品
- 医薬品
- 爪楊枝
- ティッシュペーパー
- ボタン電池
- 猫用の小さなおもちゃ
このように、身近にある家のものが愛猫の命を脅かすことがあります。危険なものは触れられないようにしておく、遊んだ後のおもちゃはすぐに片付けるなど、飼い主さんの普段の心がけが重要です。
猫が食べてはいけないものを口にしてしまったら?
もし猫が危険なものを食べてしまった場合、以下のような症状が見られます。これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 吐きたそう
- 嘔吐が続いている
- 食欲がない
- 呼吸がいつもり早めである
- ぐったりとしていて元気がない
口にしたのを見ていたのなら、どれだけ飲み込んでしまったのか、いつ頃食べたのかを記録しておきましょう。また可能であれば、かじったものの一部や包装を持参すると、獣医師が適切な治療法を判断する際に役立ちます。
状況によっては入院や手術が必要となることもあります。手術が必要な場合、麻酔代や手術代、入院費用など、治療費は数万円からかかり、複雑な手術の場合は10万円を超えることも。
突然の出費に備えられるよう、資金を用意したり、保険に加入しておくことが重要です。
猫の誤食・誤飲を防ぐための対策
猫の誤食・誤飲を防ぐための対策は以下のとおりです。
- 猫が届く範囲に小物を置かない
- 蓋付きのゴミ箱に変える
- ストレスをためにくい環境を心がける
上記の対策を実践し、愛猫にとって安全な環境づくりを心がけましょう。
猫が届く範囲に小物置かない
誤食・誤飲を防ぐためには、猫が届く範囲に小物を置かないことが大切です。
食事や食材をキッチンやテーブルに置いたままにせず、使用後はすぐに片付けましょう。とくにキッチンの三角コーナーにある生ゴミは猫の興味を引きやすいため、忘れず片付けてください。
洗剤や薬品類は必ず戸棚やケースで保管します。観葉植物はユリのような猫に害がある植物は避け、害がない植物を飾るにしても、猫が届かない高い場所に置くようにしましょう。
蓋付きのゴミ箱に変える
食べ物の美味しい匂いや遊び心でゴミ箱を漁ってしまうことがあります。そのため、必ず蓋付きのゴミ箱にしましょう。
できれば押しても倒れにくく安定性のあるもの、ペダル式やロック式のものなど、猫が簡単に開けられないものを選びます。
ストレスをためにくい環境を心がける
日頃からストレスが溜まっていると、噛んだり、飲み込んだりするなどの問題行動を見せることがあります。その結果、食べていけないものや異物を食べてしまうことも。
愛猫にストレスをかけさせないよう、安心できる環境を整えてあげましょう。キャットタワー・キャットウォールなどの高所や、段ボール箱で作った狭い場所など、猫が落ち着ける場所を複数用意することが大切です。
また、部屋やトイレはこまめに掃除してきれいに保ちます。猫砂も定期的に取り替えましょう。さらに猫じゃらしやボールなど、お気に入りのおもちゃで楽しく遊んであげることで、運動不足やストレスの解消になります。
猫のために、食べてはいけないものを覚えておきましょう
猫は人間と異なり、私たちが日常的に口にするものの中に危険な食べ物が数多く存在します。中には命に関わるような危険な食べ物も多いため、常に注意が必要です。
大切な愛猫のために、食べてはいけないものをしっかりと把握し、誤飲・誤食を防ぐための対策を講じることが重要です。愛猫の健康と安全を守るため、正しい知識を身につけていきましょう。