猫の食べ物・栄養に関する基礎知識
猫の身体の仕組みや栄養摂取に関する知識を知っておくと、猫の食べ物に関する判断がしやすくなります。以下で主なポイントを抑えておきましょう。
猫と人間では必要な栄養バランスが異なる
肉食動物である猫は、必要なタンパク質の割合が人間より多いです。人間の食事では必要なタンパク質の割合が全体の15〜20%であるのに対して、猫は35%ほどタンパク質を必要とします。
また猫は炭水化物を消化するのが苦手で、消化に時間がかかります。摂り過ぎると、消化不良を起こしたり、余分な炭水化物が脂肪として蓄積されて肥満の原因になったりするため、注意が必要です。
このことから、猫のフードはタンパク質を中心に作られます。
猫には体内で合成できない栄養素がある
猫に必要な栄養素としてタウリン、アルギニンなどが挙げられますが、これらは猫は体内で合成することができません。
タウリンが不足すると、視力の低下や心臓病が起きやすくなります。心臓の筋肉が弱まり、最悪の場合は心不全につながることも。アルギニンは、アンモニアを尿素に変換する働きがあり、不足するとアンモニア中毒や肝性脳症を引き起こす可能性があります。
このように体内で合成できない栄養素があるため、食事から直接摂取しなければいけないのです。
猫の味覚は甘みを感じない
猫が味覚を感じる器官である味蕾は、人間の10分の1以下しかありません。人間の味蕾が7,000〜9,000個あるのに対し、猫は約400〜600個しかないのです。そのため、人間のように繊細な味の違いを感じ取ることはできません。
特に、猫の舌には甘みを感じる味蕾がないため、甘みを感じません。猫は食事において舌触りと匂いなどを重視しており、肉や魚のタンパク質の香りに非常に敏感です。
なお、甘みは感じませんが、苦味と酸味、塩味は感じ取れます。これは腐敗した危険な食べ物を避けるために発達したといわれています。
猫はあまり水分を取らない
猫はあまり水分を取らず、1日に必要な水の量は体重1kgあたり約50mlです。4kgの猫であれば、200ml程度なので、コップ一杯分と少なめです。
ただし、食べ物からの水分摂取も含まれており、飲水だけでなく、食べ物からも水分を補給しています。ドライフードでさえ、10%の水分を含んでいます。
とはいえ、猫は野生時代の名残で喉の渇きを感じにくく、脱水症状になりやすいです。水分が不足すると、尿路結石や腎臓病などの深刻な病気を引き起こすリスクが高まります。
猫用以外の食べ物を与えないのが無難!総合栄養食と水があれば問題ない
人間の食べ物を与えることで、栄養バランスを崩したり、危険な食材を誤って与えたりするリスクがあります。そのため、猫用以外の食べ物を与えないのが無難です。主食には猫に必要な栄養をバランスよく摂れる総合栄養食を選びましょう。
キャットフードには、タウリンやビタミンA、必須アミノ酸など、猫が体内で作れない栄養素が適切に配合されています。また、消化しにくい炭水化物も事前に処理されているため、安心して与えることができます。
新鮮な水と総合栄養食があれば、他の食べ物を与える必要はありません。
猫が食べてもいいもの【食材別】
ここでは、猫が食べてもいいものを食材別に紹介します。
肉類
鶏肉・牛肉・豚肉など、ほとんどの肉類はしっかり加熱すれば与えることができます。特に鶏ささみは低脂肪で良質なタンパク質源です。なお、塩やソースなどで味付けする必要はありません。
一方で、生肉は食中毒の危険があるため絶対に与えないでください。ハムやソーセージなど、人間用に加工された肉も塩分が高いためNGです。
魚介類
魚は良質なタンパク質とタウリンの供給源になります。サーモン、まぐろ、かつおなどの身は火を通せば与えられます。
魚好きのイメージがある猫ですが、実は個体によって好みが分かれます。自分の猫が魚好きかどうかを確認したうえで与えましょう。
魚を与える際は骨は必ず取り除きます。青魚は脂質が多く、黄色脂肪症になりかねないため、控えめにします。貝類やエビ、カニは中毒を引き起こす可能性があるため与えないでください。
野菜類
きゅうり、トマト、レタス、キャベツ、水菜は生でも大丈夫です。かぼちゃ、さつまいも、ブロッコリー、アスパラガスなどは茹でて細かく刻めば与えることができます。
ただし、ネギ類(玉ねぎ、にんにく、長ネギ、ニラ)やアボカドなどは猫にとって有毒なので絶対に与えないようにしましょう。
穀物
猫は炭水化物の消化が苦手なため、穀物を積極的に与える必要はありません。
白米なら少量であれば問題ありませんが、パンやパスタは糖質や塩分が多く栄養価も低いため避けましょう。枝豆なら、しっかり茹でれば、良質なタンパク質やビタミンが摂取できます。
とうもろこしも生でなければ問題ありませんが、缶詰のコーンは塩分が多く含まれているので、NGです。
果物類
スイカ、メロン、りんご、いちごなど、一部の果物は少量なら与えることができます。ただし種や皮は必ず取り除き、小さく切り分けて与えましょう。
ブドウ、レーズン、いちじく、柑橘類は有毒な成分を含むため絶対に与えないでください。
乳製品
プレーンヨーグルトやカッテージチーズは少量なら与えられます。ただし牛乳は下痢の原因になるため避けましょう。
猫用のミルクであれば、乳糖が分解されているため安心して与えることができます。
猫が食べ物を食べなくなったときの対処法
ここでは、猫が食べ物を食べなくなったときの対処法を紹介します。
ご飯の種類・与え方を見直す
ご飯の種類や与え方を工夫することで、食べてくれるかもしれません。例えば、フードを温めることで匂いが強くなり、食欲を刺激できます。
また、硬いフードは砕いて食べやすい大きさにしてみましょう。水分補給も兼ねてウェットフードを取り入れるのも効果的です。他にも手で直接フードを与えると、食べてくれることもあります。
なお、猫は食べ慣れた味を好むため、新しいフードに変える場合は、徐々に混ぜながら切り替えましょう。ドライフードは古くなると風味が落ちるので、開封後1ヶ月を目安に使い切れる量を購入します。
落ち着ける場所で与える
猫は人の目が気になったり、周囲の物音に驚いたりすると、落ち着いて食事ができません。人通りの少ない静かな場所やトイレから離れた場所、猫が普段くつろいでいる場所に食器を置きましょう。
また食べている最中は触ったり、声をかけたりせず、そっと見守ることが大切です。
時間と量に気をつける
常に食べ物を置いておく「置き餌」は、食欲のコントロールが難しく肥満の原因になります。1日3〜4回に分けて決まった時間に与えることで、規則正しい食事習慣が身につきます。
おやつの与えすぎも要注意です。おやつは1日の総カロリーの10〜15%以内に抑え、主食を食べなくなる原因にならないよう気をつけましょう。
仕事などで飼い主が不在がちな場合は、タイマー式の自動給餌器の利用もおすすめです。
遊んであげる
運動不足が原因で食欲が落ちている可能性もあります。猫は上下運動を好む動物なので、キャットタワーを設置するなどして、運動するきっかけを作ってあげましょう。
猫じゃらしを使って一緒に遊んであげるのも効果的です。ただし食後すぐの運動は避け、食事の1〜2時間前に遊んであげましょう。
体調に変化をチェックする
普段から体調の変化をチェックしておくことも重要です。以下の症状がみられる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
- 食欲不振が2日以上続く
- 元気がない
- 嘔吐や下痢がある
歯の痛みや内臓の病気が隠れている可能性もあります。早期発見・早期治療が重要です。
猫の食べ物についてよくあるQ&A
ここでは、猫の食べ物に関して飼い主さんからよく寄せられる質問にお答えします。
ねこまんまは食べさせてもいい?
ご飯にお味噌汁をかけて鰹節をのせた「ねこまんま」は、猫の食事としてあまりおすすめしません。味噌や鰹節に含まれる塩分が高く、腎臓に負担をかけてしまいます。
また、炭水化物が中心の食事では必要な栄養が不足してしまいます。総合栄養食のキャットフードを基本の主食にしましょう。
チュールを毎日あげすぎると良くない?
チュールは猫が大好きなおやつですが、毎日たくさん与えることは避けた方が良いでしょう。チュールには猫に必要な栄養がよく含まれているわけではありません。塩分や糖分が含まれており、与えすぎると肥満や腎臓病のリスクが高まります。
またチュールを与えすぎると、いつも食べているフードを猫が物足りないと感じて、食べなってしまうこともあります。
1日1本程度を目安に、ご褒美として与えたり、体調不良で食欲がないときに活用したりするのがおすすめです。
猫が食べてもいいものをしっかり把握しておきましょう!
猫と人間では、身体の仕組みや必要な栄養が異なります。人間にとって栄養バランスの良い食事でも、猫にとっては適切でない場合があります。食べていいものであっても与え方や量に注意が必要です。
愛猫が健康に過ごせるよう、食べてもいいものや与え方をしっかり把握しておきましょう。
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